上水道は正式には「指定給水装置工事事業者」、下水道は「指定排水装置工事事業者」といいます。 給水装置(給水管の新設や交換など)工事と排水装置(宅地内の下水を公共下水道へ流すための排水管など)工事を行うためには、 一定の条件をクリアし適切な工事と事務手続きが可能な業者であると、各上下水道事業者から指定を受ける必要があります。 この制度を「指定工事店制度」といいます。 業者は特定の条件を満たした上で各自治体に申請することで、「水道局指定工事店」として指定を受けることができます。 私たちが水道トラブルに見舞われた際、まず優先して問い合わせるべき依頼先がこの水道局指定工事店です。 では、「指定給水装置工事事業者」と「指定排水設備工事事業者」についてもう少し詳しく見ていきましょう。
[指定給水装置工事事業者] 指定給水装置工事事業者とは、水道法第16条の2に基づき各自治体の水道事業者により 「給水区域内における給水装置工事を適正な技術によって施工できる」と認められた水道工事業者のことです。 指定給水装置工事事業者以外の業者が、給水管の新設や交換といった給水装置の工事を行うことはできません。 給水設備に関するトラブルが起きたときには、必ず水道局の指定を受けた指定給水設備工事事業者に依頼をしましょう。 指定給水装置工事事業者と認定されるためには、下記の要件を満たした上で申請を受理される必要があります。 給水装置工事の指定要件 ⚫︎国家資格の「給水装置工事主任技術者」を保持する者がいること ⚫︎給水装置工事に必要な機材や資材を保有していること ⚫︎欠格要件に該当せず、不正な対応をする業者でないと認められること 指定給水装置工事事業者として指定されるには、これらの条件をクリアできる技術と消費者が安心して依頼できる環境が必要です。 指定給水装置工事事業者になるための条件は全国で一律ですが、業者は指定を受けた給水区域内でしか工事することができません。 「東京の水道工事を別の県の指定給水装置工事事業者が請け負う」といったことはできないので、 依頼する際にはお住まいの給水区域内で指定を受けている業者を選ぶようにしましょう。
[指定排水設備工事事業者] 指定排水設備工事事業者とは、各自治体の下水道事業者により「排水設備工事や水洗化工事などを適切に行うことができる」 と認められた水道工事業者のことです。下水管などを適切に維持管理するために、 指定排水設備工事事業者でない業者が排水設備工事等を行うことは、各自治体の下水道条例によって禁止されています。 排水設備に関するトラブルが起きたときには、必ず指定排水設備工事店に依頼をしましょう。 指定排水設備工事事業者に指定される要件は、条例に基づいて下記の内容になっています。 排水装置工事の指定要件 ⚫︎「排水設備工事責任技術者」の資格を保持する者がいること ⚫︎指定を受ける下水管理者の都道府県内に営業所があること ⚫︎排水設備工事に必要とされる機材や資材を保有していること ⚫︎欠格要件に該当せず、不正な対応をする業者でないと認められること これらの要件を満たした業者が、指定排水設備工事事業者に指定されます。 指定排水設備工事事業者も、工事が行えるのは指定された自治体の区域内のみです。
水道局指定工事店ができること 給水装置の修理は水道局指定工事店のみができることです。具体的に以下のような工事は、水道局指定工事店に依頼する必要があります。 1.給水管や止水栓を設置する工事 2.給水管の種類を変更したり、経路・水栓を改造したりする工事 3.排水設備を新設または増設する工事 4.汲み取りトイレを水洗トイレに改造する工事
水道局指定工事店に依頼するメリット パッキンを替える程度のちょっとした修理なら、水道局指定工事店以外の業者に依頼しても構いません。 しかし、どのようなケースでも、できれば水道局指定工事店を選んだ方が良い理由は次のとおりです。 信頼できる技術力 国家資格に当たる給水装置工事主任技術者が在籍しているため、知識と技術力がある業者だと考えられます。作業者全員が資格を持っている訳ではありませんが、国家資格を持った人がきちんと管理しているはずです。そのため、水回りのトラブルが起きた原因をきちんと確認し、適切な対処をしてもらえます。原因をきちんと知って対処するので、再発の可能性も少なくなります。 適切な費用 水回りの施工費用は相場がありますが、適正料金かどうかの判断が困難です。また、中には施工後に見積もり以上の料金を請求する業者もいるので、注意が必要です。その点、水道局指定工事店は自治体からの認可を受けている業者なので、安心して依頼できます。トラブルが生じれば、認可が取り消しになる可能性があるためです。また、運営状態が悪いと認可がおりないため、経済的な問題でボッタクリをするということもありません。 幅広い工事に対応 軽度なつまりだと思ったら原因が排水管にあり、水道局指定工事店しかできない工事が必要になることがあります。そのようなとき、改めて水道局指定工事店に依頼し直すと二重の手間になり、支払いもさらに加算されます。最初から水道局指定工事店に依頼しておけば、ワンストップで修理が終わるため、時間もお金も節約できます。